レビュー 「教団X」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

本日紹介する作品は、中村文則さん著「教団X」です。

ある日、深夜に何気なくテレビをつけたら「アメトーーク」という番組で
オードリーの若林さんと、今をときめくピースの又吉さんが、
この本を大絶賛しておられました。

物凄い褒め方だったので、興味があって読んでみました。

500ページ以上もある長編で、文章も余白なくギッシリ詰まって、
読むのに骨が折れると思ったのですが、とても読みやすく、
あっという間に読了しました。

アマゾンのレビューはどれも評価が低く、
私のように「アメトーーク」を見た後に購入された人も多かったようですが、
「面白くなかった」とか、「ステマだ」とか、散々ですが、
私は凄く考えさせられる作品だと思います。


  世界と人間を全体から捉えようとしながら、
  個々の人間の心理の奥の奥まで書こうとする小説。
  こういう小説を書くことがずっと目標の一つだった。
  これは現時点での僕の全てです。


作者である中村文則さんの後書きです。
中村さんの心意気を感じます。


物語は、二人の男、松尾、沢渡に魅了されて人々が集まり、集団は拡大し、
それが各々を教祖とした二つの宗教団体として発展していきます。

二つの宗教団体は、片やゆるやかな説法をするサークル的な団体、
もう一方は、セックスによって信者を縛り、洗脳させ、
武装集団としての裏の顔を覗かせる狂信的な集団。

この二つの宗教団体にいる男女が、教祖によって翻弄され、
数奇な運命に引きずり込まれていく様に、気味の悪さを感じます。

本文中に説明があったのですが、ブッダと言えば、
仏教開設の祖、と思っていたのですが、
実はブッダ自身には

  「特殊な宗教の開祖となるという意識はなかった」

らしいのです。

宗教には教義があってしかるべきだと思い込みますが、
ブッダは教義を否定し、否定したところに仏教がある、
と説いたらしいのです。

物語のテーマを私はここに見出しました。

すなわち宗教とは、教義ありきではなく、人ありきなのである。

全く性質の違う二つの宗教団体。
二人の教祖は、でも実は同じ宗教団体の教祖を師に持っていたのです。

同じ宗教思想を持った者が分派し、
全くお互いが異色な宗教団体になる。

しかも、教団Xと名付けられた教祖、沢渡自身には
教義も主義主張も持ち合わせていない男。
そんな沢渡の教団Xに信者が集い、それが宗教となる。


沢渡の行為がエスカレートし、宗教として発展し、暴走していく。
静かに、でも少しずつ歪なズレが出てきて、
そして終盤にはとんでもない方向へ向かっていく信者たち。

この静かに、少しずつ違和感を感じながら生じるズレと
暴走に至る過程と表現が不気味で、飽きずに読めました。
私は凄い作品だと思います。

興味のある方は読んでみて下さい。



教団X
集英社
中村 文則

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