レビュー 「武田家滅亡」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

本日は前回紹介しました伊東潤さんが書かれた小説
「武田家滅亡」を紹介します。

武田家滅亡のタイトルでも分かりますように、
時代は戦国期の武田家の
栄枯盛衰を背景に書かれた時代小説です。


関東を統べる北条氏政の妹である桂姫が、政略結婚の為、
甲信の武田勝頼の下へ嫁ぐ場面から物語は始まります。


武田信玄死後、家督を継承した四朗勝頼は
国主として武田家の勢力拡大に腐心していきます。


しかし、武断派家臣と文治派家臣の確執が
勝頼の代から手に負えなくなり、
遂には文治派家臣の筆頭、長坂釣閑光堅と
釣閑の僕のような跡部大炊助の暗躍によって、
武田家が内部より崩壊し、方向を見失っていきます。


現状の武田を憂慮する重臣の生き残りである春日虎綱は、
自身を慕う二人の若者、
小宮山内膳友晴と辻弥兵衛に今後の武田を託します。


しかし、後に二人は長坂釣閑の陰謀によって武田家を放逐されてしまい、
それが二人の運命を大きく変えてしまいます。

一人は、放逐されても尚、武田に臣従し、
もう一人は、強い怨恨によって武田滅亡を画策していく。

作者の伊東さんによると、この作品ではシェークスピアの悲劇作
「オセロ」をモチーフにした、とあるように、
勝頼と桂姫の夫婦が、陰謀によって仲を引き裂かれ、
疑心暗鬼に狂った勝頼が桂姫から離れていく様が描かれています。


御館の乱や北条家との同盟破棄、高天神城攻防や武田征伐、
小山田信茂の謀反など、
歴史上の史実を絡めながら、
史実から脱線することなく多様な人間ドラマを形成し、
多数に張り巡らした伏線も終盤で見事に回収しているのは圧巻です。


武田勝頼や上杉景勝、北条氏政などの史実の人物から、
宮下帯刀、四朗左父子などの地侍まで、多様な登場人物が出てきます。

しかし、全く誰が誰だか混乱することなく
終盤まで一気に話が進んでいきます。


作者によるとこの作品は「主役不在の群集劇」、
「人ではなく事件中心」、「プロットは複雑に」、
「布石と伏線を打ちまくる」を特徴としていると語られていますが、
夫婦の確執と再生など、
人の情感も表現された名著であると思います。



この作品を完成させるのに、
作者の伊東さんは夜の睡眠を二回に分け、
トータル4時間ほどの睡眠時間を半年も過ごしたそうです。


冒頭の桂が入輿する場面が、終盤でも活かされてくるところなど、
構成が細部にもこだわり、
歴史背景や城の攻防と戦略なども詳しく調べられています。


そしてこの後に出版された「天地雷動」は
この作品のスピンオフのような要素があり、
「武田家滅亡」で出てきた登場人物が
「天地雷動」でも活躍します。


今後もご活躍される作家さんだと思います。
興味のある方は読んでみてください。





武田家滅亡 (角川文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング)
伊東 潤

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 武田家滅亡 (角川文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのトラックバック